輸入貨物 更生請求について

通関士

輸入納税申告を行った際、納付すべき納税額に誤りがあり、訂正する場合、輸入申告した者による訂正や税関長による訂正等の様々なパターンがある。(下図参照)

このページでは、輸入納税申告者が更生請求をする場合について解説します。※税関長による更生とは別物なので注意。

更生請求について

先に行った納税申告、税関長による更生により本来納付すべき税額よりも過大な場合に更生請求を行うことができる。※税関長による決定に対して、更生請求を行うことはできない。

・更生請求の主体:「輸入申告をした者 (納税義務者)」、「通関業者による代理」

・修正可能な事項:課税標準または納付すべき税額 (減額変更を伴う場合)

・請求可能な期間:輸入許可前あるいは許可日から5年以内 ※輸入許可前引き取りの場合は、引取承認の翌日と許可日の遅い日から5年以内

・更生請求の方法:関税更生請求書を提出 ⇒ 税関長調査 ⇒ 減額更生可否の結果を通知(減額更生拒否の場合はその理由を文書で通知) 輸入許可前であれば、税関長へ口頭で構成の請求をし、認められた場合は納税申告書の税額の是正で良い

 ※減額更生:税関長が納付すべき税額を減額させて確定すること

・更生請求の効力:更生請求により税額が確定することはない。必ず税関長による減額更生可否の調査が伴い、その後に過大納税分の納税義務がなくなる

修正額の算出方法

更生請求を行い、税関長により減額更生が行われた場合、減額分の関税の還付を受けることができるが、ここでは、減額分の関税額の計算方法を説明します。

計算方法
更生請求により減額する関税額 = 更生請求後の関税額(本来納付すべき関税額) - 更生請求前の関税額(過大に納付した関税額)

例題

問題

輸入貨物Xにおいて当初輸入納税申告した際に、下表の通り課税標準に誤りがあった。この場合に更生請求を行った場合、減額する関税額を求めよ。

輸入貨物X

【当初申告時】 

課税標準:5,350,250円 適用税率:3.5%

【更生請求後】

課税標準:4,850,750円 適用税率:2.7%

解答

更生請求後の関税額 = 5,350,000円(1000円未満切捨) × 3.5% = 187,250円 ⇒ 187,200円

更生請求前の関税額 = 4,850,750円(1000円未満切捨) × 2.7% = 130,970.25円 ⇒ 130,900円

更生請求により減額する関税額 = 187,200円 - 130,900円 = 56,300円

 <答え> 減額する関税額:56,300円

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