重加算税について

通関士

納税義務者が納付すべき関税について、隠蔽や仮装などの不正を行っていた場合、重加算税が課せられます。過少申告加算税および無申告加算税の対象となる案件について、それぞれ、重加算税の税率を適用する。

適用税率

過少申告加算税を代える場合:35%
無申告加算税を代える場合 :40%

計算方法・端数処理について

重加算税額 = (納付税額の重加算税該当部分の1万円未満切捨額)× 適用税率
※計算された重加算税の100円未満を切り捨てとし、合計額が5000円未満の場合は課されない。
※過去5年間に無申告加算税または重加算税が課されたことがある輸入者に対しては、重加算税が10%加重される。

例題

問題1

【過少申告加算税に代えて重加算税が課されるパターン】

A社が輸入貨物について輸入納税申告をして貨物を輸入した後、税関からの調査によって増額更生を受けた。下記条件の場合にA社が支払うべき過少申告加算税と重加算税を求めよ。

当初の申告により納付した関税額:35万円

増額更生によって納付する関税額:450万円

450万円のうち100万円は、課税標準または税額等の計算の基礎となるべき事実に隠蔽があり、過少申告加算税に代えて、重加算税が課される。なお、A社は過去5年間に関税について無申告加算税又は重加算税が課されたことはない。

解答1

過少申告加算税がかかる納付税額:350万円 (450万円 - 100万円)、重加算税がかかる納付税額:100万円

税関からの増額更生のため、過少申告加算税の適用税率は10%、重加算税の適用税率は35%

基準額:50万円 (35万円<50万円)

納付税額が基準額より大きいため加重過少申告加算税が課される。

過少申告加算税額:増差税額 × 適用税率 = 350万円 × 10% = 35万円 

加重過少申告加算税額 = { (増差税額 ー 基準額)の1万円未満切捨額 } × 5% = {(350万円 - 50万円)の1万円未満切捨額 } × 5% = 15万円

過少申告加算税額 = 35万円 + 15万円 = 50万円

重加算税 = 納付税額 × 適用税率 = 100万円 × 35% = 35万

 <答え> 過少申告加算税額:500,000円 重加算税額:350,000円

問題2

【無申告加算税に代えて重加算税が課されるパターン】

A社が輸入貨物について輸入の時までに納税申告をしなかったため、税関からの調査によって決定を受けた。下記条件の場合にA社が支払うべき無申告加算税と重加算税を求めよ。

当初の申告により納付した関税額:35万円

増額更生によって納付する関税額:450万円

450万円のうち100万円は、課税標準または税額等の計算の基礎となるべき事実に隠蔽があり、無申告加算税に代えて、重加算税が課される。なお、A社は過去5年間に関税について無申告加算税又は重加算税が課されたことはない。

解答2

無申告加算税がかかる納付税額:350万円 (450万円 - 100万円)、重加算税がかかる納付税額:100万円

税関からの決定のため、無申告加算税の適用税率は15%、重加算税の適用税率は40%

基準額:50万円 (35万円<50万円)

納付税額が基準額より大きいため加重無申告加算税が課される。

無申告加算税額:増差税額 × 適用税率 = 350万円 × 15% = 52万5千円 

加重無申告加算税額 = { (納付税額 ー 基準額)の1万円未満切捨額 } × 5% = {(350万円 - 50万円)の1万円未満切捨額 } × 5% = 15万円

無申告加算税額 = 52万5千円 + 15万円 = 67万5千円

重加算税 = 納付税額 × 適用税率 = 100万円 × 35% = 35万円

 <答え> 過少申告加算税額:675,000円 重加算税額:350,000円

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